人的資本開示の最新トレンド:アメリカ編②

こんにちは!HCプロデュースの土井です。

今回は、人的資本の開示におけるアメリカの最新情報を、アップデートしてお伝えしたいと思います。

2021年5月25日、アメリカの上下院議員2名が、同国の上場企業に対し、「研修」、「安全」、「リテンション」に向けた投資を含む経営方針を対外的に開示することを求める法案を提出したとのニュースがありました。

まずは、両議院のコメントを抜粋します。

Cindy Axne氏(下院):

  • "過去 1 世紀にわたり、有形資産が経営に与える影響度が低くなり、代わりに、従業員そのものへの依存度が高まってきたが、現行の開示方法では、企業が従業員に行っている投資が見えない”
  • ”投資家が自らの投資に関する長期的な見通しを立てることができるよう、透明性を持った情報開示の仕組みを、アメリカがリーダーシップを発揮して構築する必要がある"
  • "COVID-19 のパンデミックにより、特に職場の健康や安全、ならびに在宅勤務の仕組み等に関する情報の重要性が更に高まってきた"

Mark Warner氏(上院):

  • "従業員こそが、企業が持つ最も貴重な資産の 1 つ。しかし、現在のシステムでは、依然、企業間でその開示の内容や方法のばらつきが大きすぎる"
  • "この法律が施行されれば、公開企業が従業員をどのように管理、サポート、投資しているかをより明確にすることができる"

元々、両議院は、アメリカの証券取引委員会(SEC)に対して、従業員のエンゲージメント、休暇取得、研修等を含む人的資本の開示方針の重要性を強く要求する書面を提出しておりました。

その後、SECの新議長であるGary Gensler氏は、同氏の在職中の初期論点および最優先事項は、まさしく"人的資本の指標に関する開示規則を更新することである"と明示したことは記憶に新しいところです。

こうした動きを受けて、早速、様々な企業・団体が、この法案を支持しているところ、今後の動きが一層注目されます。

企業経営において世界を依然としてリードするアメリカの政治家や投資家が、従来の財務指標が企業価値を評価する上では不十分であることを認識しつつ、無形資産、特に人的資本に焦点を当てた仕組み作りに本腰を入れたことが、改めて分かるニュースですね。

同国NYSEに上場する11社や同国企業と事業を進める多くの日系企業としても無視できない動きとして、ご紹介させていただきました!

当法案の今後も遂次アップデートして参りますのでお楽しみに!

HCプロデュース/土井